2015年04月02日

食物アレルギーのひやりはっと 1

 先日、あーす楽園ホームページの『お役立ち情報』ページの食物アレルギーって、どういうもの?のアレルギー関連の情報があるホームページ欄に、独立行政法人 環境再生保全機構を追加しました。

 今回は、その環境再生保全機構が、発行する『ぜん息予防のための よくわかる食物アレルギー対応ガイドブック2014』を、ご紹介します。
よくわかる食物アレルギー対応ガイドブック2014.png

 少し専門的な部分も多いのですが、食物アレルギーのお子さんをお持ちのご家庭で、参考になりそうな情報も多く掲載されています。
(このガイドブックは、機構のホームページから無料でダウンロードが出来ます。パンフレットの一覧・申込

 ガイドブックに、参考になりそうな、ひやりはっと事例が掲載されていましたので、ここにまとめました。(ひやりはっと 1~21)
 このひやりはっとは、アレルギーをもつ方や、そのご家族が経験した、ひやっとした事例になります。ちょっとしたことから、思わぬことに発展しないように、ご参考になれば幸いです。


ひやりはっと 1 これまで小麦は大丈夫だったのに、どうして・・・
運動でアレルギー症状が誘発される場合があります。
*状況:これまで小麦は普通に食べていました。しかし、格好給食の後、授業でサッカーをしていたら、突然、顔面、頚部、躯幹にじんま疹が出現し、意識を失って病院へ搬送。

 食物依存性運動誘発アナフィラキシーは、原因となる良品を食べた後に運動することにより症状が誘発されます。主なアレルゲンは、小麦、甲殻類で、ある種の解熱鎮痛剤が発症に関与する場合かあります。
 運動前には原因食品を食べさせない、原因食品を食べた場合、食後2時間は運動を避ける、皮膚の違和感など症状前駆症状が出現した段階で運動を中止し休憩する、感冒薬など内服した場合は運動を避ける、などに注意しましょう。


ひやりはっと 2 いつも食べていたものなのに
食べて変だなと恩ったら、それ以上食べないようにしましょう。
*状況:トマトを口にしたところ、いつもとちがって、のどに少し違和感がありました。気にせず何個も食べ続けたら、のどがピリピリして呼吸しづらくなりました。後日、皮膚試験(プリックープリック試験)でトマトにアレルギーがあることが証明されました。

 それまで普通に食べられていた新鮮な果物や野菜を良べると、口腔局所のアレルギーを生じることかあります。これは口腔アレルギー症候群(OAS)といい、加熱された加工品や市販のジュースでは症状は誘発されません。高学年の児童から成人の方に発症します。
 まれに一気に多量に食べると強い症状が誘発される場合かあります。血液検査では診断がつきにくいため、新鮮な果物や野菜そのものを利用した皮膚試験(プリックープリック試験)によって診断が行われます。OASは多くの場合、花粉症を合併しています。


ひやりはっと 3 ママ、おちついて!
日頃から家族でエピペンの使用方法について確認しておきましょう。

 日頃からアフフィラキシー発現時の状況について意識し、エピペンの使用方法を訓練してお
く必要があります。また、エピペンはあくまでも救急用の補助として使うものなので、使用後
はただちに医療機関を受診する必要があります。


ひやりはっと 4 自己判断で除去食品数を増やすのは危険です!
食事療法の基本は、正しい原因アレルゲン診断に基づく必要最小限の除去です。

 自己判断で離乳食を中断したり除去品目を増やすことは、栄番不足を招きQOL(生活の質)を低下させます。
 血液検査の結果が陽性であっても、安全に良ぺられる食品もありますので、自分で判断せす専門医に相談し.必要な場合は食物経口負荷試験を受けて、除去の程度を決めてもらいましょう。


ひやりはっと 5 母乳栄養はアレルギーを起こさないって聞いていたのに・・・
母乳を介するアレルギーはありますが、自己判断せす専門医に相談を。
*状況:生後すぐより顔面に湿疹、2ヶ月のときアトピー性皮膚炎と診断され、スキンケアとステロイド外用薬で治療を続けていました。
 母乳栄養にアレルギーはないといわれて食事制限せずに母乳栄養を続けていましたが、湿疹は徐々に悪化してきたため、アレルギー専門医で血液検査を行ないました。
 卵白が原因アレルゲンとわかり、母親が乳製品の摂取を制限したところ、アトピー性皮膚炎が軽快していきました。

 母乳栄養児の一部には母乳を介したアレルゲンにより、症状か悪化する場合びあります。心配な場合でも決して自己判断で除去することはよくありません。
 必ずアレルギー専門医に相談し、除去か必要かどうかを慎重に判断してもらってください。もしお母さんの食事からアレルゲンを含む食品の除去か必要な場合でも、通常はきびしい除去は必要なく赤ちゃんの症状が改善していきます。また、数か月後にはお母さんの除去食か不要になることか多いです。


ひやりはっと 6 おばあちゃんのお土産、原材料表示をみるのは失礼かしら?
もう一度自分の自で原材料表示を確認しましよう。
*状況:同居しているお義母さんが、子どもに「きな粉餅」を買ってきてくれました。お義母さんも卵アレルギーのことは知っていたので、つい安心して、原料表示を見ずに、子どもに食べさせたところ、その直後から顔面に痒みとじんま疹が出現。
 いつもなら必ずアレルゲン表示を確認していたのに、お義母さんからもらったので、つい確認しそびれてしまいました。原材料表示には卵と書いてありました。

 アレルギーのことをよく理解してくれている家族や親せさからちらった食品であっても、もう一度自分の目で原材料表示を確認することは失礼なことではありません。


ひやりはっと 7 肌にやさしい石鹸を使用していたら・・・
肌についたものがきっかけで食物アレルギーが起こることも。
*状況:茶のしずく石鹸(加水分解小麦含有)を使用したら、顔が赤くなったり口唇が腫れたりするようになりました。また、パスタやケーキを食べた後の買い物中にじんま疹が出るようになりました。
 先日はパスタを食べた後で、テニスをしたら全身にじんま疹が出現し、その後意識を失って倒れました。

 加水分解小麦を含んだ石鹸の使用により、皮膚または粘鴨なら石鹸中の小麦タンパクの感作を受け、同石鹸の接触によるアレルギーを生じたり、さらに小麦製品摂取後のアレルギーや小麦依存性運動誘発アナフィラキシーを起こしたりする症例があります。
 対策としては、小麦アレルギーの患者だけてなく、アトピー性皮膚炎の人は皮膚から感作を受けやすいのでこのような石鹸の使用は避けた方かよいでしょう。
 また健康な人が使用する場合でも、石鹸による接触アレルギーだけでなく小麦摂食後のアレルギーや小麦摂取後の運動誘発アナフィラキシー発疹に注竟が必要です。


ひやりはっと 8 抗原特異的IgE(アイ ジー イー)抗体価が低いから、いいかなと思って試してみたら・・・
抗原特異的lgE抗体価が低くても、食物経口負荷試験で確認してもらいましょう。
(血液検査(IgE)の値が低い食品の安全性が高いとは限りません)
*状況:アトピー性皮膚炎で血液検査をしてもらい、卵、牛乳、大豆、小麦の特異的IgE抗体が陽性と判明し、低アレルゲン米と野菜のみの離乳食しか食べていませんでした。
 2歳の時、小麦の数値が一番低かったため、小麦から試してみようと思い、自宅でうどんを食べさせたところ、じんま疹がでてしまいました。幸いにも、自宅での観察だけで落ちつきました。

 抗原特異的lgE抗体の検査で抗体価が一番低いのが一番安全という認識は誤りです。
 また、食物経口負荷試験を自己判断により家庭で行うことは大変危険です。アレルギー専門の医師に相談し食物経口負荷試験の計画を立ててもらいましょう。


ひやりはっと 9 お兄ちやんの食べこぼしに卵が・・・
兄弟の食事中の席を離しても、決して母は目を離すな。
*状況:10ヶ月ごろまで重症のアトピー性皮膚炎でしたが、スキンケア・軟膏塗布と卵の除去で皮膚炎はほぼ治っていました。
 卵料理はまったく食べないようにしていたのですが、4歳の兄の卵焼きの食べこぼしを患児が口に入れてしまったようで、その直後に口唇から顔全体の発赤、腫脹および喘鳴、呼吸困難が出てきました。救急車を呼んで病院に搬送。

 兄弟のどちらか一方が除去している食品を食卓に出すときには細心の注意か必要です。こういった場合は兄弟の食事中の席を離すだけではなく、母の目を離さないことが重要です,またお兄ろゃんやお姉ちゃんにも日頃から食物アレルギーについてわかりやすく話してあげるようにしましょう。


ひやりはっと 10 乳糖除去ミルクは牛乳アレルギーでも大丈夫なの?
牛乳アレルギーには専用のミルクを使用してください。
*状況:アトピー性皮膚炎があり、卵、牛乳アレルギーと診断されました。10ヶ月まで母乳で育ててきましたが、母乳を中止して、ミルクに変更してみようと思いミルクを買ってきました。
 乳糖のみをのぞいたミルクを初めて自宅で飲ませたところ、喘鳴、顔の浮腫、じんま疹がみられ救急車で病院に搬送、入院となりました。

 人工栄養児でミルクアレルギーと診断された場合は、牛乳アレルギー用ミルクを使用してください。乳糖除去ミルクには乳タンバク質が入っており、牛乳アレルギー用ミルクとして使用できません。
 また、牛乳アレルギー用ミルクにもタンパク分子量の大きさや乳糖含有に違いがあるので主治医の先生とよく相談してください。
 なお、部分加水分解乳であるペフチドミルクは、牛乳アレルギー用ミルクには分類されません。


引用:
1.『ぜん息予防のための よくわかる食物アレルギー対応ガイドブック2014』独立行政法人 環境再生保全機構

2.『食物アレルギーひやりはっと事例集2014』 藤田保健衛生大学小児科免疫アレルギーリウマチ研究会

後半の ひやりはっと11〜21は、『食物アレルギーのひやりはっと 2』に続きます。
posted by あーす楽園 at 20:28| Comment(0) | アレルギー