環境再生保全機構『ぜん息予防のための よくわかる食物アレルギー対応ガイドブック2014』からの 食物アレルギーのひやりはっと事例の後半です。
ひやりはっと 1〜10までの前半は、食物アレルギーのひやりはっと 1をご覧ください。
ひやりはっと 11 まさかこんなところからアレルゲンが・・・
食べ残しやごみの後片付けは最後までしつかりしましょう。
*状況:母親が台所に入ると、子どもが顔を掻きむしりながら、泣いていました。見ると顔が真っ赤に腫れており、手にはゴミ箱から拾い出したと思われるタマゴの殻がにぎられていました。水で顔を洗って症状は軽快しましたが、念のため主治医に相談して飲み薬を飲ませました。
アレルゲンの除去はゴミの後片付けまで慎重に対処することか必要です。
ほかにも、お父さんがカフェオレを飲むときに利用したスプーンに残った微量の乳タンバクで重篤な症状をきたしたケースもあります。
ひやりはっと 12 プラス レストランでの外食時、鴨肉だから良いと恩ったら・・・
旅行前にアレルギー食を提供してくれるところを探しておきましょう。
*状況:お父さんが注文した合鴨のロースソテーを子どもが欲しがったので、鴨肉だから大丈夫と思って1切れだけあげました。すると、なめただけですぐに泣き出し、数分で顔が多く腫れ上がり、目の白いところが「どろっ」として「ぶよぶよ」になってしまいました。すぐに手持ちの抗ヒスタミン薬を飲ませ、病院も受診しことなきを得ました。
合鴨のロースソテーのソースに卵とバターが使用してありました。
レストランやホテルでは使用している材料の表示義務はありません。そのため外食はリスクか高く注意が必要です。旅行前にアレルギー食を提供してくれるレストランやホテルをインターネットなどで探しておきましょう。
また、不測の事態に備えて内服薬(抗ヒスタミン薬、内服用ステロイド薬)や注射薬(エビペン)を携帯するなど細心の注意を払いましょう。
外食時のポイント
く予約までの対策ゝ
@ 主治医からあらかじめ内服薬や、エピペンを処方してもらう。
A アレルギー食を提供してくれるレストランをインターネットで探す。
B アレルギー担当者か当日いるか確認しておく。
C 厳密な除去を必要とする患者さんはアレルギー担当者と詳細な打ち合わせ(食材、調理器具、食器の区別など)をしておく。
D 救急病院の有無についで確認しておく。
E B〜D項目を確認しでから予約する。
F 代替食メニュ一の食材をFAXなどで確認する。
<当日の対策>
@ 処方された内服薬や、エビペンを携帯する。
A 食前にアレルギー担当者と食事内容について確認する。
ひやりはっと 13 血液検査の結果で除去除去といわれ続けて、体重が・・・
専門医指導のもとで栄養士による管理をしてもらいましょう。
*状況:生後3ヶ月ごろアトピー性皮膚炎と診断されました。アレルギーの検査をした項目は全て陽性だったので、医師から離乳食は1歳ごろから開始するようにと指導を受け、その後民間療法で治療をしていました。
皮膚の症状はある程度落ち着いたのですが、10ヶ月検診のとき体重増加不良、発育遅延を指摘されてしまいました。
過度の除去食療法による発育障害です。乳児においては除去食療法を行う場合には特に代わりになる食物を積極的に検索して、成長、発達に影響のないように十分に配疹する必要かあります。
専門医の正しい指導を受け、ケースによっては食物アレルギーの知識のある栄警士による栄養管理も必要です。
母子手帳などにある成長曲線をつけて、発育の経過をきちんと見ていくことは大変重要です。
ひゃりはっと 14 この湿疹の原因食品が何かわからないのだけど?
食物日誌は宝の山です。悩んでいないで専門医にみせてください。
原因となるアレルゲンがわかりくい場合には、食物日誌を利用すると食品とアレルギー症吠との関連性が明らかになり、疑わしいアレルゲンがみつかることがあります。
お母さんが原因をうまく探せなくても、日誌をつけて専門医の先生と一緒に探してもらうとみつかる場合があります。
原因がわからないまま除去食品数を増やしていくよりも、日誌をつけて、見てもらいましよう。
ひやりはっと 15 3歳になったから食べられる?
専門医と相談して食物経口負荷試験の計画を立ててもらいましょう。
食品の種類によって違いがありますが、食物アレルギー患者の約半分が3歳までに良ぺられるようになります。そして食べられるようになったかどうかを判断する唯一の検査法か食物経口負荷試験です。
しかし、食品によっては重篤なアレルギー症状を引き起こすことかあるので必ず専門医と相談して、血液検査や皮膚試験などを参考に食物経口負荷試験の計画を立ててもらいましょう。
ひやりはっと 16 ご褒美にアメをもらったが、母の考えがあまかった
塾の先生にも食物アレルギーのことを話しておきましょう。
*状況:書道塾で、ご褒美にアメをもらいました。帰宅途中で口にいれて直に違和感があり、はき出しましたが、のどの痛み、咳込み、喘鳴が起こりました。自宅でインタールの吸入をしましたが変わりはなく、病院へ行き入院となりました。
このアメが、いちごミルクでした。母親から塾の先生に、牛乳アレルギーであることを知らせてなかったためにミルクの入ったアメが配られました。
また、インタールは喘息発作が誘発されたときに使用しても効果はなく、喘息発作の予防の目的で非発作の時に毎日使用するものです。
学校生活以外の活動の場でも食品が提供される可能性があるため、子どもには不用意にもらったものを食べないよう伝えておきましよう。
同時におやつも含め食べ物を提供する可能性のある施設の先生にも、食物アレルギーについて説明し理解してもらうようにしましょう。
ひやりはっと 17 紙袋に残っていた粉でぜん息発作が・・・
食品の入っていた紙袋は使用しないようにしましょう。
*状況:幼稚園で、大きな紙袋を使い、紙の服を作って着るという工作のときに喘息が起こりました。
この紙袋は、大豆を入れるのに使っていたことが後でわかり、大豆の粉じんを吸い込んだ為に喘息発作が起きたことがわかりました。
食物アレルギー症状は、給食時問以外でも、例えば工作(小麦粘土の使用)や遊戯(小麦、大豆、そば、米などの食品か入っていた布袋を十分洗わすに再利用する)、掃除(牛乳で汚染した雑巾)などの時間でもアクシデントの発生があり注意が必要です。
ひやりはっと 18 ジュースのノズルから牛乳が・・・
ノズルが共通タイプの自販機は使わないようにしましょう。
*状況:注入口が共通タイプの自動販売機(紙コップが出てくるタイプ)で、ジュースを買って飲んでいたら、口の周囲からじんま疹が出てきました。慌てて緊急時用の抗ヒスタミン薬を飲ませました。
ノズルが共通タイプの自動販売概では、前に購入されたコ一ヒーのミルクがノズルに残っている場合があります。
この例では、ノズルに残った微量のミルクがジュースに混じってしまったのだと思われます。
ひやりはっと 19 お友達の子が大丈夫だったからといっても・・・
アレルギーの発現の程度には個人差があるので気をつけましょう
同じアレルゲンでしかもlgE抗体価が同じであったとしても、アレルギー症状か発現する食品の種類や摂取量には個人差かあるので気をつけましょう。
また、お友達のホームバーティーなどに出席する場合には、抗ヒスタミン薬やステロイド薬、また過去にアナフィラキシーの既往があれぱエビベンを携帯していきましょう。
ひやりはっと 20 あまりにも上手に代替食を作りすぎたばかりに・・・
見分ける方法は、みんなで共有するようにしましょう。
*状況:お友達とおやつを一緒に食べる時に備えて、見た目がそっくり同じものを牛乳除去して作って準備していました。
しかし母親が席をはずした時に、お友達のお母さんが区別つかなくて与えてしまいました。食べて15分くらいした時に全身のかゆみとじんま疹が出て間違って与えたことに気づきました。すぐに 手持ちの薬を飲ませて、症状はおさまりました。
除去食を行っている場合でも、できるだけみんなと同じようにみえるものを与える工夫は大切と考えます。
しかし、そのことをみんなが理解していないとこのような誤食につながります。食器やトレーを色違いにする方法も、本人やまわりの人が除去食であることを識別するのに役立ちます。
ひやりはっと 21プラス キャンプ場、課外活動で野外料理のときに・・・
参加スタッフ全員で情報を共有してもらいましょう。
*状況:班のリーダーが看護師でしたので、子どものゼラチンアレルギーのことは伝えてありました。ようかんにはゼラチンの代わりに寒天を使用する予定でした。しかし、食べている途中から咳が出はじめ、全身にじんま疹が出たたため、患児の内服を飲んで病院に搬送。病院についたころには症状は軽くなっていた。
材料である寒天を買出しに行った買出し当番と調理当番が、十分に情報を把握しておらず、粉ゼラチンを買ってきて調理してしまった。
キャンプなど課外活動に子どもを参加させる場合には、食物アレルギーの食品内容や緊急連絡先、対処方法などについて、食物アレルギーに詳しいスタッフから、キャンプのリーダーだけでなく、調理当番や買い出し当番を含めた参加スタッフ全員に、細かい注意点なとについて話が行き渡るようにする配慮が必要です。
また、子どもを受け入れる側のスタッフ全員が、食物アレルギーについての正しい知識を学習しておくことも必要です。
課外活動のポイント
<参加する側>
@ アレルギーの原因食品、症状についてキャンプスタッフに知らせる
A 主治医からの掲示書(アレルギー誘発食品、初期症状と対応、緊急連絡先)を渡す
B 内服薬やエビペンを携帯させ、緊急時の対応(エピベン使用法や緊急搬送先病院)についても決めておく
<キャンプスタッフ側>
@ スタッフ全員で情報を共有し、対応方法はスタッフ全員に伝えておく
A 出発前に、指示書、内服薬、エビペン携帯などを確認する
引用:
1.『ぜん息予防のための よくわかる食物アレルギー対応ガイドブック2014』独立行政法人 環境再生保全機構
2.『食物アレルギーひやりはっと事例集2014』 藤田保健衛生大学小児科免疫アレルギーリウマチ研究会
引用の文献は、こちらからダウンロード出来ます。
よくわかかる食物アレルギー対応ガイドブック2014 @環境再生保全機構
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