2016年07月06日

チバニアンって知ってますか? 地球磁場逆転期の地層

 チバニアンって聞いたことがありますか?

 ジバニャンとは関係ないですよ。

チバニアン-2.jpg

 実は、いま地質学の世界で大変盛り上がっている話題なんですよ。


 少しややこしいですが、読んでみてください。


 チバニアンとは何かというと、地球の歴史つまり、地層から地質年代を調べることによって、その地質の時代がわかります。

 そして、地質時代区分の変化点によって、国際地質年代区分に分けられいるのですが、その国際地質年代区分の一つの時代の呼び名が、チバニアン(千葉時代)になるかもしれないのです。

チバニアン-5.jpg 


 じゃあそのチバニアンっていつ頃のことなの?

 258万年前から始まる時代「新生代第四紀更新世」の前期(ジェラシアン期、カラブリアン期)に続く、中期(約78万年前〜約12万年前(この時代はまだ未定))には、まだ国際的な命名がされておらず、その時代の呼び名の候補として「チバニアン(千葉時代)」が、提案されています。



 チバニアン時代ってどんなことが起きたの?

 第四紀更新世の前期と中期の境目は、地球の磁場の逆転が起きた時代なのです。

 『地球の磁場の逆転?』とはなにかというと、いまコンパス(方位磁針)は、地球の北をN、南をSにさしますよね(正磁極期)。 でもですね78万年前は、今と逆(逆磁極期)で、北がS、南がNになっていたんです。

つまり、チバニアンで地球の磁場(北と南)が逆転してるのです。 

チバニアン-3.jpg


 前置きが長くなりましたが、その地球の磁場が逆転した時期の地層を含む時代 チバニアン を、千葉県の養老川(市原市田淵)の崖で見ることができるんですよ。


 下の写真(田淵の崖)に、赤色と黄色と緑色の杭がありますが、杭はそれぞれ次の時代を示しています。

緑色:北がN、南がSの正磁極期(今と同じ)

赤色:北がS、南がNの逆磁極期

黄色:磁場がふらふらしていた時代 

チバニアン-4.jpg


(ちなみに、地球の磁極が逆転したといっても、次の日になったら磁極が逆転していたわけではなく、1万年くらいかかって磁極が逆転したのではなかと言われています)



 そして、赤色の杭の下から3番目と4番目の間に、崖を横方向に線があるのが見えますすが、この線が、更新世前期と中期の境目で、

 線の下がカラブリアン

 線の上がチバニアン

なんですよ。


 線になっている層が、白尾凝灰岩層(びゃくびぎょうかいがんそう)Bky-Eです。この層からチバニアンが始まることになるんですって。
(線のところに白い小さな看板にBey-Eと書いてあったのですが、文字がかすれてみなくなっていますが (T_T) )


 チバニアンが正式に国際的な地質時代名に決定すると、Bky-Eの下底に更新世中期の始まりの地点として金色の杭(Golden spike)が打たれることになります。


 ただ、市原市田淵の崖以外にも、イタリアにも2箇所の候補地があり、現在3箇所から一つに絞る地質学的な戦いが繰り広げられているそうです。


 国際的な標準の地層を選ぶ検討委員会に、チバニアンの申請書をこれから提出するらしいのですが、その締め切りが、今年2016年の11月末なんだそうです。

 検討委員会で認められば、地球の地質時代に日本の「千葉」という地名が、世界共通で使われることになるんですよ!

 田淵の崖に、金色の杭が打ち込まれると嬉しいですね。 

チバニアン-7.jpg


 おまけ

 地質学の世界では、千葉は太古の地層が地上で観察できる格好の研究場所らしく、日本全国から地質学の研究者が来て調べているらしいですよ。

 そう言われると、銚子では、300万年前の地層なんかも見ることができたりするし、近所の崖もひょっとすると、すっごい昔の地層だったりするかもしれませんね。


 この夏ちょっと川あそびに行った時に、崖の地層を見て昔に思いを馳せるもの楽しいかもしれませんね。 


 田淵の崖のある養老川も素敵なところで、クロアゲハが優雅に飛んでいましたよ。

クロアゲハ-2@養老川.jpg


 自然の中は、いろんなものがあってたのしいですよ! 






<2016/10/22 追記>

 (O_o) 「千葉地層、誤解招く説明 調査チームおわび」!?

 『え゛どいうこと?』

 9月20日に一部の新聞で報じられていたので、目にされたかたもおられるかもしれませんが、(私はこの時点では知りませんでした (><) )
「チバニアン」(千葉セクション)で、【地磁気が反転した証拠と考えられた場所の見学者への説明が不十分で、誤解を与えかねない内容だったとして、調査チームが19日、表示方法を改める方針を千葉市で開かれた学会で明らかにした。(千葉日報)】というもの。


チバニアン-4.jpg

 どういうことかというと、上の写真のように田淵の崖には、赤色や黄色の杭が打たれていますが、Bky-Eより上の層(新しい年代)の杭の一部は、田淵の崖ではない場所(2kmほど離れた場所の地層)の地質データの解析結果をもとにしているというもの。
 つまり、田淵の崖に打たれている杭は、その杭が打たれているポイントの解析データによるものと、杭とは異なる土地のポイントのデータによるものとが混在して表示されているわけです。

 なんだかややこしい話ですよね。
 確かに地層は離れている場所でもつながっているので、同様のデータは取れるかもしれないですが、なぜ田淵の崖に別の場所の解析結果を持ってきたか謎ですよね。素直に現地の地質をサンプリングして解析すればいいのにと思っちゃいますが…

 誤解を恐れずに言えば、某自動車メーカーの燃費データの改ざんなんていうのが最近ありましたが、チバニアンもデータの改ざんを疑われかねないですよね。
 なんでこんなことしちゃったんですかね〜 ( ̄◇ ̄;)
 こういうことを聞くと、非常に残念な気持ちになりますよね。

 功績を焦ってなのか、結果が必要だったのか、理由はわかりませんが、事実をこつこつ積み上げていく学術研究なのに、あまりにもずさんな研究のように見えてしまってなりません。 

 だんだん日本(人)のいいところが失われていくような気がして残念でならないですね。これも現代の社会システムの歪みによるものなのでしょうか。


 なんだか、気持ちが沈んでしまいましたが、気を取り直して (^o^)/

 『じゃー、チバニアンにはならないの?』

 これもまた、ややこしくてですね、新生代第四紀更新世 中期(チバニアンが含まれる時代)の分け方が、国際学会でまとまっていないとのことで、地質時代名の決定までにはまだしばらく時間がかかりそうなんです。(あと数年かかるかもしれないそうです)
 ついで情報ですが、田淵の対抗候補地のイタリアは、まだデータを揃えている最中だとか。
 幸か不幸か、どこもまだ準備がととのっていないみたいですね。

 こんな状況なので、田淵の崖の論文も修正が入るのでしょうが、チバニアンの可能性がなくなったわけではないのですが、ミソがついた感じで、なんだかがっかりさせられたニュースでしたね。

 実際のところ、解析データの改ざんがあったとか、なかったとか。チバニアンになるとか、ならないとかは、別にして、この養老渓谷周辺(田淵の崖など)では、古代のいろいろなものが観察できる貴重な場所であることには違いがないわけですけどね。
posted by あーす楽園 at 15:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 地球
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